ある会社が、独自開発(パッケージでなく、個別企業に合ったシステムを個別オーダして開発する形態)で、生産管理システムを導入しました。そして、本番稼働前の総合テストで、テストデータを使って、受注登録から生産計画(作業計画)の作成、作業実績登録、納品書・請求書印刷までを通してテストしました。その結果、機能的には問題ないのですが、次のような問題が出てきました。
(1)データ修正に前提条件があった
一旦登録した受注データを削除・修正する場合、その受注データを基に生産計画が作られていると、生産計画から削除しないと受注データが削除できない。この場合、一旦作成した計画を削除しないといけないので、計画の作りなおしになる。
(2)データ修正に手間がかかる
一旦作成した生産計画を修正、削除する場合、別の修正専用の画面から削除・修正をしないといけないので、修正が多いと手間になる。
(3)帳票印刷に手間がかかる
例えば、納品書を印刷する時に、一旦出荷データから印刷する納品書データを作成しないと、印刷ができない。また、請求書を印刷する場合、20日締めの得意先だけを抽出して印刷ができない。その為、帳票印刷までの前処理に時間がかかり手間がかかる。
総合テストの時に、このような問題が出てきました。そして、システム的にこれらを修正すると(手間がかからないようにする)、かなりの追加修正費用がかかるとのことです。
ちなみにみ、総合テストとは、テストデータを使い業務全体を通して正常にシステムが稼働するかをテストするフェーズです。今回出てきた問題は仕様の問題であり、そもそも総合テストで発見されるような問題ではないです。それでは、どうしてこのような問題が出てきたのでしょうか。
その会社の社長さんや担当者の方に話を聞くと、データ修正の方法や帳票印刷の方法は、最初にITベンダー(システム開発する会社)から聞いたのですが、紙に書かれた画面で確認したので、どうも使い方がはっきり分からなかったようです。その為、システムができてから確認してもいいやと簡単に考えていたようです。
このような事にならない為には、どうすればいいでしょうか?
(1)仕様の確認を適切に行う:企業側の解決策
まず重要な事は、データ修正や帳票印刷のやり方を(画面や処理の仕様)、初めにしっかり確認することです。確かに、紙の仕様書(紙に画面が印刷してあり、紙上で確認する)では、確認が難しいかもしれませんが、SE(システムエンジニア)に、「登録した後のデータはどうやって修正するのですか?」という具合に、1つひとつ確認しながら仕様を確認する事が重要です。
確認漏れがあると原則、発注企業の責任になる可能性が高いですから、しっかり確認する事が必要です。尚、中小企業の場合は、業務が忙しくて時間が取れないという事もあるでしょう。その場合は、経営者が確認する時間を作ってあげる事も重要です。
(2)レベルの高いITベンダーを選定する
確かに、仕様がしっかり確認できていないのは発注企業側の問題ですが、それをそのままにして開発に入ったITベンダーにも問題があります。通常は、設計レビューというものがあります。つまり、ITベンダーが「このような形で開発に入りますよ」と確認する会議です。このレビューがしっかり開催されていれば、問題はこの時点で判明するはずです。もし、ビューなしで開発に入り後から問題が出てくれば、ある意味ITベンダーに問題があると言えるでしょう。その為、開発を依頼するITベンダーを選定する時は、システムの品質確保法について聞いてみる事です。システムの品質とは、プログラムのバグ(不具合)だけでなく、仕様確認の方法も含まれます。レベルの高いITベンダーであれば、しっかりレビューを行い仕様確認を行います。
後から、こんなはずじゃなかった!という事にならないために、仕様確認を行う!これは、システム開発において発注企業側では絶対必要な事です。SEさんに任せておけば大丈夫ではなく、自身で確認するようにしましょう。
IT経営コンサルタント 坂田岳史
(1)データ修正に前提条件があった
一旦登録した受注データを削除・修正する場合、その受注データを基に生産計画が作られていると、生産計画から削除しないと受注データが削除できない。この場合、一旦作成した計画を削除しないといけないので、計画の作りなおしになる。
(2)データ修正に手間がかかる
一旦作成した生産計画を修正、削除する場合、別の修正専用の画面から削除・修正をしないといけないので、修正が多いと手間になる。
(3)帳票印刷に手間がかかる
例えば、納品書を印刷する時に、一旦出荷データから印刷する納品書データを作成しないと、印刷ができない。また、請求書を印刷する場合、20日締めの得意先だけを抽出して印刷ができない。その為、帳票印刷までの前処理に時間がかかり手間がかかる。
総合テストの時に、このような問題が出てきました。そして、システム的にこれらを修正すると(手間がかからないようにする)、かなりの追加修正費用がかかるとのことです。
ちなみにみ、総合テストとは、テストデータを使い業務全体を通して正常にシステムが稼働するかをテストするフェーズです。今回出てきた問題は仕様の問題であり、そもそも総合テストで発見されるような問題ではないです。それでは、どうしてこのような問題が出てきたのでしょうか。
その会社の社長さんや担当者の方に話を聞くと、データ修正の方法や帳票印刷の方法は、最初にITベンダー(システム開発する会社)から聞いたのですが、紙に書かれた画面で確認したので、どうも使い方がはっきり分からなかったようです。その為、システムができてから確認してもいいやと簡単に考えていたようです。
このような事にならない為には、どうすればいいでしょうか?
(1)仕様の確認を適切に行う:企業側の解決策
まず重要な事は、データ修正や帳票印刷のやり方を(画面や処理の仕様)、初めにしっかり確認することです。確かに、紙の仕様書(紙に画面が印刷してあり、紙上で確認する)では、確認が難しいかもしれませんが、SE(システムエンジニア)に、「登録した後のデータはどうやって修正するのですか?」という具合に、1つひとつ確認しながら仕様を確認する事が重要です。
確認漏れがあると原則、発注企業の責任になる可能性が高いですから、しっかり確認する事が必要です。尚、中小企業の場合は、業務が忙しくて時間が取れないという事もあるでしょう。その場合は、経営者が確認する時間を作ってあげる事も重要です。
(2)レベルの高いITベンダーを選定する
確かに、仕様がしっかり確認できていないのは発注企業側の問題ですが、それをそのままにして開発に入ったITベンダーにも問題があります。通常は、設計レビューというものがあります。つまり、ITベンダーが「このような形で開発に入りますよ」と確認する会議です。このレビューがしっかり開催されていれば、問題はこの時点で判明するはずです。もし、ビューなしで開発に入り後から問題が出てくれば、ある意味ITベンダーに問題があると言えるでしょう。その為、開発を依頼するITベンダーを選定する時は、システムの品質確保法について聞いてみる事です。システムの品質とは、プログラムのバグ(不具合)だけでなく、仕様確認の方法も含まれます。レベルの高いITベンダーであれば、しっかりレビューを行い仕様確認を行います。
後から、こんなはずじゃなかった!という事にならないために、仕様確認を行う!これは、システム開発において発注企業側では絶対必要な事です。SEさんに任せておけば大丈夫ではなく、自身で確認するようにしましょう。
IT経営コンサルタント 坂田岳史
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