こんにちは、IT経営コンサルタントの坂田岳史です。
先日、あるITベンダーの方から、ITコーディネータ(ITC)資格の取得を検討しているが、ITCのメリットとデメリットを教えて欲しいと言われました。その方には、回答しましたが、せっかくなので多くの方にも知って頂こうと思い記事を書きました。以下は、私の私見ですが、ITコーディネータについて語ってみます。
尚、私はITコーディネータ資格を2001年に取得し、14年間プロのITCとして活動しています。
■ITコーディネータ(ITC)資格を取得するメリット
①IT導入の上流から下流までのプロセスが身に付く
ITコーディネータは、単にシステム導入するコンサルではなく、経営者にITを活用した経営改革に取り組む気付きを与え、その上でIT活用の取組を指導します。その為、経営戦略策定、それを実現する為の課題(成功要因)設定、最適なシステム企画の作成、システム導入、成果確認などシステムを活用する全てのプロセスに関与します。
ITコーディネータを取得する為に受講するケース研修は、この一連のIT経営プロセスを事例企業を使って模擬体験し、プロセスを身に付けます。このIT経営プロセスがITC活動で、最も重要な資産になるのです。
②経営的な視点でITを見る事ができる
ケース研修では、徹底的に経営者の視点を植え付けられます。特に私がインストラクタをやっている京都コースでは、私の体験に基づいた経営者とのコミュニケーション法などもお話しします。
SEの方は、最初は少し戸惑うかもしれませんが、ITコーディネータは経営者(或いは経営層)を指導する役割です。ですから、経営者の想いや考え、コミュニケーションも身に着ける必要がありますITCを取得すると、IT経営を経営的視点で考える事ができるようになります。
③問題解決能力が身に付く
ケース研修では、経営戦略を実現する為の経営課題を考えるなど、30以上の課題があります。それらに取組む事により、問題解決能力が身に付きます。ITを活用した経営改革や業務改革では、その実行を妨げる多くの問題があります。ケース研修では、これらの問題を解決する手法や能力が身に付きます。
④プレゼンテーション能力が向上する
ケース研修で取り組む解題では、常に課題の発表があります。ITCが経営者にプレゼンしたり、企業のプロジェクトメンバーとなって経営者にプレゼンしたりなど、ロールプレイングで研修が進みます。ケース研修の受講生の数にもよりますが、6日間の研修で10回以上ロープレでプレゼンする機会があります。おのずと、プレゼン能力も向上する訳です。
⑤人的ネットワークが広がる
ケース研修を通じて、講師と受講生、及び受講生通しの人的ネットワークが構築できます。研修が終わった後も定期的に勉強会などをやるところもあります。京都コースでは、京都ITCの会という同窓会組織を作り、定期的な交流を行っています。
⑥ビジネスチャンスを創出できる
ITコーディネータに限らず、資格を取ったからと言ってすぐに仕事があるわけではありません。
しかし、ITCを取得する事によりコンサルの幅が広がり、ビジネスチャンスが作り易くなります。
ちなみに、私はケース研修の後に、IT経営コンサルタント養成講座をやっています。ここでは、ITCで得た知識を元に、実際にビジネスに展開する為に必要な事を講義しています。
ITC資格を活用してビジネス展開する方法には、いくつかありますが、いずれにしてもビジネスチャンスを作る機会は増えるでしょう。
■ITコーディネータ(ITC)資格を取得するデメリット
ITCを取得を取得する事のデメリットは、あまり思いつきませんが、ITCは民間資格ですので、資格取得と維持にはコストがかかります。
例えば、ケース研修の受講料は20万円で、試験は1回2万円程度です。また、ITC資格認定後に3年以内のフォローアップ研修(1回3万円)を3回受講する必要があり、さらに毎年資格更新に2万円かかります。結構、お金がかかります。
このコストがかかる資格を上手く活用できないと、デメリットになると言ってもいいでしょう。逆に、上手く活用する事ができれば、デメリットになりません。
ちなみに、私は、上手く活用できていると思いますので、まったくデメリットと感じていません。
メリットにするもデメリットにするも、自身の活動内容になります。
今回は、ITコーディネータのメリットとデメリットについてお話ししました。ITC取得を検討している方の一助になれば幸いです。
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